日々猛烈な暑さが続いていますね。この時期は買っておいたチョコレートが溶けてやわらかくなっていることがよくあります。ちょっと冷蔵庫で冷やしておいて、後で食べようと包みを開けたらなんだか白っぽくなってる・・・誰もが一度は経験があるのではないでしょうか?
今回はこの残念な現象について、原因や対処法などをお伝えします。
チョコレートが白くなる原因は「ブルーム現象」
チョコレートが白っぽくなったり、斑点のようなものが浮き出てくる現象を「ブルーム」と呼びます。これは、チョコレートに含まれるココアバター(原料であるカカオ豆の油分)と砂糖が分離して浮き出てくるために起こる現象です。
ブルームには2種類あり、ココアバターが原因で起こる「ファットブルーム」と、砂糖が原因で起こる「シュガーブルーム」があります。下記で詳しく見ていきましょう。
ファットブルームとは
チョコレートの原料であるカカオに含まれる脂肪分であるココアバターが溶けて、チョコレートから染み出してくることで起こります。ココアバターは白っぽい色をしているので、溶けたココアバターが再度表面で固まると白っぽく見えます。
シュガーブルームとは
チョコレートに含まれる砂糖が湿気などで水分に溶け出し、その水分が蒸発した際に砂糖だけが表面に残ることで起こります。砂糖は結晶化すると白っぽく見えるため、この現象が起きてしまいます。
ブルームはどんな時に起こる?
溶けかかったチョコレートが冷えて再度固まる
夏のあるあるですね。少しやわらかくなったチョコを冷蔵庫で冷やしたりするとなりやすいです。チョコレートがやわらかくなると同時にココアバターが分離してしまうという現象が起きます。主にファットブルームの原因になります。
夏場、寝るときにリビングのエアコンを切っているとか、カバンに入れて持ち歩いていたとか、貰い物のチョコを車に置き忘れたとか・・・etc. ブルームの起きる主な原因はここにあるといっても過言ではありません。
ココアバターは25~28℃くらいから溶け始めるため、少し気を抜くとすぐに起こってしまいます。
テンパリングが不十分だった
手作りチョコレートにチャレンジするときに起こりやすい現象です。製菓用のチョコレート等を一度溶かして再度固める作業を「テンパリング」というのですが、実はこれが手作りチョコの工程の中で最も難しい作業のひとつ。うまくできていないとココアバターがうまく混ざり合わず、その結果ファットブルームが起こってしまいます。
せっかく手作りしたのに「なんとなくおいしくない」と感じてしまうのは、このテンパリングがうまくできていないことが原因であることも多いです。
温度や湿度の変化でチョコの表面が結露した
これは温度差がある環境にあった際に起こりやすいです。冷蔵庫から出してきたチョコレートをしばらく室内に出しておいたときとか、冬にチョコレートを買って寒い外から帰宅し、暖かい室内に置いておいたときなどになりやすいです。主にシュガーブルームの原因となります。
チョコレートの表面が結露で湿ってしまうと、水に溶けやすい砂糖が吸収されて表面に浮いて出てしまい、水分が飛んだ時に砂糖が残ってしまいます。
ブルームが起きたチョコは食べられる?
食べられるけど美味しくない
上記で解説した通り、ブルーム現象の原因はココアバターと砂糖です。どちらもチョコレートの成分が溶け出ただけなので、問題なく食べていただいて大丈夫です!
ただ・・・風味は完全に劣化します。つまりのところ、おいしくないです。食べたときにボソボソとした食感で、チョコレートを口に入れたときのとろけるような滑らかさが失われてしまっています。
そしてやはり気になる見た目。表面に浮き出た白いものが、どうも食べてはいけないもののような気がしてならないんですよね。チョコレートに罪はないだけに、申し訳ない気持ちでいっぱいになります・・・。
ブルームが起きてきまったチョコレートは戻せる?
元のようなチョコレートに戻すためには、テンパリングで再度チョコレートを溶かし、分離したものをならす方法があります。しかしながら、上記で少し触れたように、テンパリングは難しい作業であること、そしてブルームの状態によってはテンパリングでは戻らないこともあるため、手間のわりに元通りのおいしさには戻らない可能性があります。
そのため、元に戻すことは諦めて、別の方法でおいしくいただくことも併せてご検討いただくとよいかと思います。下記、テンパリングの方法と、別の方法もいくつか掲載しますので参考にしてくださいね。
テンパリングで戻す方法
テンパリングとは、チョコレートを溶かして再度固める際の温度調整のことです。これは何のために行うのかというと、チョコレートにツヤと滑らかさを出すため。この方法を使って、ブルームが起きたチョコレートに再びおいしさを取り戻してもらう作戦です!
では、順を追ってご説明していきますね。
1. チョコレートを刻んでボウルに入れる
2. 湯せんで溶かし、チョコレートを50~55℃くらいにする
3. 溶けたら今度は水の入ったボウルにあて、混ぜながら27~29℃まで冷やす
4. 再びチョコレートを湯せんにかける。今度は数秒ですぐに離し、混ぜながら温度を31~32℃になるよう微調整を行っていく
5. 最後にちょっとすくってテスト。数分置いてうまく固まれば成功!
以上が基本的な流れとなります。普通にお菓子作りで使えるテクニックなので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
諦めてその他で使う
ブルームの起きたチョコレートを戻すためだけにテンパリングを行うと思うと、やっぱり面倒に感じてしまいますよね。ここからは、戻すのは諦めて別の手段でおいしくいただく方法をいくつかご紹介します。
牛乳に溶かしてホットチョコレートに
チョコレートを細かく砕き、牛乳と一緒にマグカップに入れ、レンジでチンしたらできあがり!
生クリームと混ぜて生チョコに
板チョコ200gに対し、生クリームは100ccくらい。チョコレートを細かくしてボウルに入れ、温めた生クリームをチョコレートと合わせ、ヘラで混ぜ合わせます。チョコレートがしっかり溶けたらラップを敷いたバット(牛乳パックとかでもOK)に入れ、冷蔵庫で冷やし固めます。固まったら好きな大きさに切り、ココアパウダーをまぶしてできあがり!
食パンに乗せて一緒に焼く
適当な大きさにチョコレートを割り、食パンの上に乗せてトースターで一緒に焼くだけ!我が家ではブロックチョコを使うことが多いです。チョコがしっかり溶けているととろ~りチョコクリームに、冬場でチョコが固まってくるとパンの上で板チョコ状態になり、これもまたおいしいです♪
チョコトーストのレシピはこちらの別記事にて詳しくご紹介していますので、気になる方はどうぞ!
ブルームが起きないようにするために
25℃以上の部屋に置かない
ココアバターは25~28℃くらいから溶け始めます。25℃って人にとっては適温。エアコンの設定温度になっていると、ロッカーや部屋の隅っこなどは気温が高くなりがち。冬の暖房も要注意です。また春や秋など過ごしやすい季節にチョコレートを持ち歩くと、日差しで気温が上昇したりするので油断は禁物です。
持ち歩きの際は保冷バッグを使用する
百貨店で高級チョコレートを買ったときなどはおいしさをそのまま保ちたいですね。ブルームなんて悲しすぎる・・・そんな事にならないよう、できるだけ保冷バッグを使用し、保冷材で温度調整を行いましょう。百貨店などでは店員さんが聞いてくれますので、有料になりますがぜひ使用をおすすめします。
保管の際は冷蔵庫に入れる
夏場のチョコレートの保管はひとまず冷蔵庫へ。ただ、冷蔵庫に入れると冷えすぎてカチカチになり、それもまたおいしさ半減だな~と感じている方も多いのでは?その際はひと工夫加えてよりおいしさを保てるようにするとよいですよ。
チョコレートをアルミホイルで包み、ジッパー袋に入れて野菜室で保管。これで完璧!
まとめ
いかがでしたか?今回はチョコレートが白くなる「ブルーム現象」について、原因や対処法などをお伝えしました。
チョコレートはとても繊細な食べ物。人が口に入れたときになめらかさを楽しむことができるのは、ココアバターの最大の特徴のおかげです。それゆえに温度管理が大変ですが、ブルームには極力気を付けて、おいしく楽しいチョコライフを送りましょう!
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